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──こいつら……狙ってやった?
何かがおかしかった。
シルバリオンは狼の種族ではあるが劣性種。ただ本能に従って獲物を狩る肉食獣。そこまで知能が発達した精霊ではない。しかし先ほどの行動は──と再び思考を巡らせるが、この疑問を悠長に吟味している時間も無い。
馬車と並走する狼たちの身体が淡く光り始めるのを確認したウィリアムは、木箱の間に置いていた長剣を引き抜いて荷台の前方に向かう。
──っ……精霊魔術か……!
目下の問題は車輪のシャフトに挟まった馬の存在。
シルバリオンが放った初撃で荷物のいくつかが破損しており、倒れた馬さえ消えてしまえば現在の馬車の重量は馬一頭がけん引する力でもそこそこの速度に達する。それにこのまま低速で進んでいては、シルバリオンを好んで捕食する夜行性の精霊をおびき寄せてしまうことにもなりかねない。
荷台の先頭に到達したウィリアムが、シャフトに挟まった馬の首を躊躇なく切り裂いてそのまま後方に投げ捨てた。
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