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「シンゲンさん、停車位置が少しズレてましたよ」
「ホントデスカ!?スミマセン!」
「でも今回は50センチくらいでしたから、支障はないですよ。次はピッタリ停めれるように頑張って下さいね」
「ハイ!」
「シンゲン!調子はどうなのさ?」
「ラムセスサン!…余リ良クハナイデス…」
「相変わらずだな。まぁ、その内勝率も上がるってものさ!」
「ソウデスネ!キットモウスグ運ガ向イテキマス!」
僕は電車の運転が取り分け上手い訳じゃない。
ポケモンもそれ程上手くない。
ただ、電車が好き過ぎるだけ。
そんな僕だけど、此処のボス達は快く受け入れてくれた。
鉄道員の皆さんも、いつもミスをフォローしてくれて、その上励ましてくれる。
前の職場とは、大違いで…
***
「同じミスを何度繰り返しているんだね君は」
「スミマセン!!次カラ気ヲ付ケマス!!」
「もう聞き飽きたよ」
「オ、オ願イシマス!僕モット頑張リマスカラ…!」
「明日から、もう来なくていいから」
別にこの仕事がやりたくて入社したんじゃない。
だけど僕なりに沢山努力はした。
楽しくなくても精一杯笑顔で頑張ってきた。
でも…誰も僕の"努力"や"頑張り"を認めてくれない。
"結果"が残せないと意味がないって…
結果は大事だと思う。
だけどそれは努力と頑張りの積み重ねがあって初めて出来るんじゃないの…?
……作り笑いは、もうやめたい。
***
「シンゲンさん」
「オ疲レ様デス、ボス!」
「本日のシングルは貴方が運転されてましたよね?」
「ァ、スミマセン…停車位置ズレテシマッテ…」
「いえ、そうではなく…」
「?」
「発進時の揺れが殆ど感じられませんでした。上達なさいましたね」
「ェ…」
「少しずつで構いません。停車位置も合わせられるよう、努力して下さいまし」
「ボス…アリガトウゴザイマス!」
「いえ、貴方の頑張っている姿に私も励まされておりますので…」
苦手でも、好きな事を頑張るのは苦にならない。
『電車が好きな僕の場合』
好キナコトヲ仕事ニスルト
毎日幸セダヨ
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