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―ミズレイド近郊
そこにある湖畔にある煉瓦で出来た小さな家。
シークはその家の扉をノックし、返事も無いまま勝手に扉を開けて家に入った。
「爺。居ないのか?勝手に入るぞ」
狭い割にロウソクが幾つも燈された家の中はやたらと明るく、床に散乱した本が足場を制限した。
「ったく呼び出しといて、どこに居るんだあの爺」
「呼んだか?」
といきなり目の前の本の山をバサバサと崩しながら、グレーの長い髪を生やした大柄の初老の男がシークの前に現れた。
「……何やってんだ爺?」
シークはげんなりとした表情で言った。
「…お前はちっとも驚かねぇから…可愛げがねぇな」
そう言ってシークに背を向けた初老の男は、アーガイル・デズモンド、53歳。
ギルド“不信心者達”のギルドマスターである。
アーガイルは椅子の上に乗った本の束を払い落とし、シークの前に出した。
「疲れてるだろ?まあ座れ」
「…分かってるなら、さっさと話を終わらせて家に帰して欲しいんだけどな」
そうシークが皮肉混じりに言うと、アーガイルは小さく肩を竦めて、向かいに詰まれた本の上に腰掛けた。
「さて、さっそくだけどな。お前に仕事の話だ」
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