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アーガイルは坦坦と話始めた。
「いきなりだが明日、隣町のモルガンにあるリンツィーって言う店に行ってくれ」
「リンツィー?」
「ああ、そこで依頼人からの説明がある。詳しいことはそこで聞いてくれ」
そう言ってアーガイルは煙草に火をつけ、小さく溜め息を吐いた。
そして二人の間を沈黙が包んだ。
「…それで終わりか?」
沈黙に耐え兼ねたシークが思わず尋ねた。
「ああ」
とアーガイルが素っ気なく返すと、シークは思わず食って掛かった。
「ちょっと待て爺。依頼人は?依頼内容は?って言うか集合時間は?」
「落ち着け。んで爺って言うな」
そうアーガイルはシークを窘めると、煙草を一吸いしてから再び話出した。
「良いか、この仕事は極秘依頼だ。詳しい内容は俺にも知らされていない。だが、この依頼には何十ってギルドの魔導師が集められてる。わかるか?言わばお前はウチのギルドの代表ってところだ」
黙々と聞くシークにアーガイルは最後にこう付け加えた。
「集合は明日…いや、今日の13時だ。くれぐれも遅れるな。俺からは以上だ」
その言葉を最後にアーガイルは煙草の火を消して押し黙った。
それからしばらくその場に座っていたシークだったが、少ししてから立ち上がりアーガイルの家を後にした。
外は薄ら明るく、昇りはじめた朝日が湖を美しく照らしていた。
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