3人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「チッ!寝不足とは言え、このまま遅刻して依頼がおじゃんになったら爺に殺される!」
そう言って険のある顔を浮かべるシークの前に、東洋の異国の雰囲気を醸し出した店が現れた。
その店の看板には、漢字で“凜翠(リンツィー)”と書かれていた。
「アレがそうか!」
とシークは店の前に馬を繋ぐと、ふと腕時計を見た。
針は12時55分を指していた。
「ぎ、ギリギリセーフ…」
とシークは安堵の表情を浮かべながら呟き、呼吸を整えてから店の扉をゆっくりと開けた。
内装も東洋風のその店は、昼間だと言うのに妙に静かで、中には十何人もの同業者らしき連中がバラバラと居て、各々で好きに過ごしていた。
2・3人で集まって情報交換している者たちや、自身の武器の手入れに勤しむ者、周囲をひたすら観察する者、ただ黙して待つ者など、一人一様の過ごし方をしていた。
店は貸し切りなのか、同業者らしき連中以外は、店の者すら見当たらなかった。
シークは、ゆっくりと足を踏み入れながら、周囲の者を一人一人、観察していく。
すると、そんなシークの前に、バッと誰かが立ち塞がった。
シークはピタリと足を止め、立ち塞がった者の顔を確かめた。
最初のコメントを投稿しよう!