Story.1-依頼-

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「チッ!寝不足とは言え、このまま遅刻して依頼がおじゃんになったら爺に殺される!」 そう言って険のある顔を浮かべるシークの前に、東洋の異国の雰囲気を醸し出した店が現れた。 その店の看板には、漢字で“凜翠(リンツィー)”と書かれていた。 「アレがそうか!」 とシークは店の前に馬を繋ぐと、ふと腕時計を見た。 針は12時55分を指していた。 「ぎ、ギリギリセーフ…」 とシークは安堵の表情を浮かべながら呟き、呼吸を整えてから店の扉をゆっくりと開けた。 内装も東洋風のその店は、昼間だと言うのに妙に静かで、中には十何人もの同業者らしき連中がバラバラと居て、各々で好きに過ごしていた。 2・3人で集まって情報交換している者たちや、自身の武器の手入れに勤しむ者、周囲をひたすら観察する者、ただ黙して待つ者など、一人一様の過ごし方をしていた。 店は貸し切りなのか、同業者らしき連中以外は、店の者すら見当たらなかった。 シークは、ゆっくりと足を踏み入れながら、周囲の者を一人一人、観察していく。 すると、そんなシークの前に、バッと誰かが立ち塞がった。 シークはピタリと足を止め、立ち塞がった者の顔を確かめた。
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