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「ひ、ひぇ!」
と情けない悲鳴を上げて男は何とか飛びのけた。
ゴーレムの鋭い牙は空を切り、ゴーレムはサッと着地した。
するとゴーレムは、今度は女性に目を向けた。
「ひっ!?」
小さく声を上げる彼女の目と、ゴーレムの岩で出来た無機質な目が合い、ゴーレムは再び飛び掛かる体勢に構える。
「レイラ!逃げろ!」
男が叫ぶが、レイラと呼ばれた彼女は、まるで蛇に睨まれた蛙の様に身動きがとれない。
そしてゴーレムは再び地面を蹴り、レイラに狙いを定めて飛び掛かった。
彼女は悲鳴を上げることもできなかった。
「レイラァァア!!」
男の叫ぶ声が遺跡内に響き渡った。
しかし、彼女に飛びつく刹那、彼女の姿がその場から消え、再びゴーレムの爪は空を切った。
着地したゴーレムは、まるで生き物の様に首を傾げ、見失った獲物を探す。
すぐ後ろから見ていた男も、ゴーレムと同様にレイラを見失い、彼女の消えたその場を、ただ呆然と見つめていた。
「一体何が起こったのだ?」
男が思わずそう呟いた直後だった。
「おい」
と誰かが後ろから男を呼んだ。
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