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コーヒーを沸かしながら、カウンターの中からアイナが尋ねた。
「どうだったの今回の仕事って?」
「ああ、地元の民族からの依頼で、遺跡にある宝玉を守ってくれって内容でさ」
「ふんふん、それで?」
「遺跡に行ったは良いけど…中で探険家っぽいカップルが遺跡を守ってたゴーレムに襲われててさ。やむを得ずゴーレムを凍らせて二人を助けたんだけど…地元の民族にこっぴどく怒られてさ。ゴーレムの氷が溶けるまで遺跡守ってろって追加で言われて…」
「あらら…それで予定よりかなり遅れたのね?」
そう同情したように言いながらアイナはコーヒーを出した。
ありがとうと一言礼を言い、シークはコーヒーを一口飲んだ。
「ふぅ…」
と小さく溜め息を吐くシークに、アイナはハッと手を叩いて言った。
「あ!すっかり忘れてた!マスターが家で待ってるから来てくれって」
「爺が?」
シークはコーヒーを啜りながら神妙な面持ちでアイナに聞き返した。
「ええ。何か仕事の話だって」
「はあ…ったく、やっと帰って来たと思ったら」
そう言ってシークはコーヒーをぐいっと飲み切ると、疲労の表情を見せながらカウンターから席を立った。
「まあ無理しないでシーク」
気遣うように言うアイナに、無言でシークは手を振り、ギルドから出て行った。
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