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当のドミニオンですら分からないのだから、エミルやタイタニアに分かるはずもなかった。
「……あの……さ………大丈夫?」
自分の分だと確保していたビスケットをたまにあげるクル。
「………うん………たぶん……」
遠慮なく受け取ると綺麗な顔からは想像できない、まるでリスの様にポリポリかじりだす。
「ん……ならよし…」
優しげに微笑むクルだった。
ファーマー気質のせいなのだろうか、無性に人の世話をやきたくなる性分のクルは再び椅子に座り直すと裁縫を続ける。
「いい……朝だね…」
「……うん…」
「今日は……いい天気になるね…」
「……うん…」
「……静か……だね…」
「……うん…」
クルの問いかけに短く、でもちゃんと応えるたまはクルの裁縫をする手先をじっと見ていた。
「「………」」
そのまま朝の穏やかな時間が流れていった。
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