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「……泣いてるの?」
「なわけないでしょ………」
嘘なのが丸分かりだった。大粒の涙が今にも零れ落ちそうになっているのだから。
唇をギュッと噛んで必死にそれを耐えるクル。
「ふ~ん………」
相変わらず頬杖しながらクルを見続けるたま。
「今度はなんだべ!森をあんなにした後はおら達の仕事を奪う気だべか!?」
「それはっ!私じゃ!……」
「おんなじだべ!情け心で置いやってる恩を忘れて、とんだ疫病神だべ!!」
「んだんだ!」
「ッッ!!」
クルに突き刺さる心無い言葉の刃。再びうつ向いてしまうと両手を固く握り締める。
「…………なさい…」
か細い声。
「ごめん……なさい…」
飛び交う罵声の中、消え入りそうな声で頭を下げるクルだった。
「……ぁ…」
下から覗き込んでいたたまに冷たい何かが降ってくる。
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