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「まぁ、行くとこ無いし……一人は無理だし……アクロポリスかぁ」
そこはアクロポリスの流通を一手に担うアクロニア大陸最大の商業都市。
大陸中央部に位置し、各国からの商人や冒険者が集う、いわば無限の可能性を秘めた魅惑の街。
図らずもぷ~…もとい駆け出しのぼ~けんしゃになったクルにとって、新しくやり直すには絶好の舞台だった。
「クル……」
「なによ…」
「いっしょに……ぼ~けんしよ?」
「……ぁ…」
たまが満面の笑みを浮かべて手を差し伸べていた。夕陽をバックにしたたまはとても綺麗で……
胸が踊る。無意識に足が前に出る。
この何をやらかすか分からない摩訶不思議な雰囲気の娘と行く旅路。
マイペースで、マイペースでマイペースで。でもこの子となら一緒にどこまでも行ける気になってしまう。
(出会って2日しか経ってないのになんでだろね……名前以外まだなぁんにも知らないのにさぁ……)
不思議な感覚。まるでたまを前から知っていたような気がする。
更に前に進む。
ほんとは出てみたかった。自分の知らない世界を見てみたかったから。
それに確かめたい事もある……
(でもねぇ………)
「……アクロポリスだっけ?」
「……うん…」
良からぬ事を思いついた顔になってたまに近づいていくクル。。
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