act3 ヒーリングプリンセス?

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~モーグシティ~ 「待たんかユース!」 「待ちません!」 モーグの木造の町並みを駆け抜ける影が二つ。 「なんだその虎の縫いぐるみは!後、そのピンクのヒラヒラでスキップするのをやめんかぁ!!」 「なんでですか!横暴です!個人の人権の侵害です、それは心のDVです!だからそんなに頭が寂しい事になるんですよ!」 「ガーン!!」 どっちが心のDVをしているんだか分かったもんじゃない。 「なんて悲しい事を言うのだ!パパはお前の為を思って………あぁっ!…」 今年になってちょっぴり出てきた腹が仇となり前のめりに転ぶ恰幅の良い初老の男。 「ぁ………年寄りが張り切るからそうなるんです。分相応って知ってますか?年をとったら大人しくお茶でも啜っていればいいんですよ。そんで姑にご飯もう食べたでしょって言われてご飯抜きにされた事にも気づかずに孤独死するんだわ……分かってるんですか?貴方の事です!……とキメ顔で言ってやりました!」 立ち止まるとその虎の縫いぐるみはピンクのヒラヒラを振り回しながら最後に男をビシィッと指し示しキメ顔になる。 (((全然決まってない………))) 道行く人々は全員そう思った。 だって着ぐるみだもの。
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