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「ラピス!」
リーダーの男がフラフラしながら立ち上がるとラピスの名を呼ぶ。
「俺のおん……ぶふぁっ!」
再びラピスに駆け寄ろうとするが、どうやっても足が前に進まない。その場でジタバタするだけだった。
「おぃぃ?なんだよこりゃ!?」
「バインド、その辺り一帯を遅滞区域に指定しました。まだやるなら……フレイムパワーサークル」
リーダーの足下に赤い魔法陣が現れると周囲の温度が僅かに上昇する。
「なんだ!なにすんだよ!」
「ん………と、焼けちゃいますよ?」
相変わらず穏やかな表情で微笑むラピスの右の小指には小さい火が灯っていた。
「やっぱ可愛い…っておぃっ!!……焼いちゃいますよの間違いだろっ!!わ~ったよ!今日はこれぐらいにしてやるよ!!」
ジタバタを止めて大人しくなった。
「明らかにこっちの台詞です。お母様にも言っておきますね」
「まっ!かあちゃんだけは止めてくれ!頼む!3日、いや4日は大人しくするから!な!?な!?な!?」
「フフフ………では~~~♪♪」
火を消すと軽快に歩き出す。
「ラピス~~~~~!!」
街のゴロツキ共も軽くあしらうラピス。
「くそぅ。次こそ、次こそは俺の女に………ギャァァァッッッ!」
どうやら風の精霊がトドメを刺したようだ。断末魔の叫びが路地裏に流れる。
ラピスは良くも悪くも人気者なのだ。
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