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その後も降り続いた雪は放課後にはすっかり積もっており、今まで数回しか見たことのない、真っ白な地面を作り出している。思いっきりあの綺麗な世界に足を踏み出したい、なんて、校舎二階の窓から見える景色を眺めて僕は思う。
「あーあ、せっかくの雪なのにな」
心中の落胆を同じ部屋の、隣に座る人物に投げかける。
「何? 仕事なんて放りだして思いっきり遊びに行きたい、ってこと?」
別にそんなつもりはなかったのだけど。少しくらい同意してくれてもいいのに。
「とんでもない。せっかく雪が積もってるんだから、少しくらいは遊びたいなーってだけの話」
「仕事が終わってから遊べばいいでしょ」
彼女の冷静な反応に僕は肩を落とす。珍しく雪が降ったのだから、もう少しはしゃいでもよさそうなのに。それこそ図書室の受付なんて仕事を放り出して。どうせいつも誰も来ないのだから。
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