3人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫌、かな、そういうこと言われるの? 僕に言われても、不愉快?」
彼女は顔を上げた。それはもう、驚いてしまうような速度で。
「嫌じゃないよ。嫌なわけ、ないじゃん」
少し潤んだ瞳で彼女は僕を見つめる。その行為の破壊力がどれだけのものなのか、彼女は知っているのだろうか。
少しの音もない。彼女は僕の目を見つめ、僕は彼女の目を見つめる。
僕は笑う。静かに。
彼女が笑う。儚げに。
「はい、『ん』。僕の勝ち」
最初のコメントを投稿しよう!