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「おいしい」
口の中で蕩けるアイス。抹茶のほろ苦さと、小豆の甘さが絶妙で、あぁ、日本人でよかった。
「このみたらしも最高です」
沖田もまた同じように、翔の前で団子を頬張りながら、幸せそうにしている。
二人のお膳の上に所狭しと並べられた甘味。
通りすがる客ですら、その量に驚いている。
まぁ、ほとんど沖田が食べるのだが。
「こんなに頼んで、お金は大丈夫なんですか」
「問題ありません。土方さんから借りて来たので、問題ないですよ」
そう言って、沖田が見せたのは確かに土方が持っていた巾着。
それはホントに土方に言って借りてきたのか…。
いや、何も言うまい。
「きゃー」
甘味処で幸せを頬張っていると、通りから女性の悲鳴が聞こえた。
「なんだ、なんだ?」
「通り魔が出たらしいぞ」
外を駆け抜ける人達の声が聞こえて、沖田と翔は顔を見合わせる。
沖田が小さく頷くと、翔は立ち上がり、先に店を出た。
そして沖田も不安そうな顔をする店の店員に笑顔で支払いを済ませると、店を後にした。
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