拾七

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「ずいぶん面白そうな話をしていますね?僕も混ぜてください」 囁くような声が聞こえて、咄嗟に身を翻し、その場を離れた。 何かを感じたわけではなく、桂は直感で身体が動いたのだ。 嘘だろ…。 少し離れた場所から、声のした方を見ると立っていたのは1人の優男。 男はニコニコ笑みを浮かべたままで、おそらく刀を振るったのだろうが、殺気もなにもなかった。 「沖田さん…」 翔から零れた言葉で、男の正体を知る。 なるほど、これが噂に名高い新選組一番隊組長沖田総司か。 桂は納得した。 「有村さん、僕をおいて行くなんてひどいじゃないですか」 沖田はふう、とため息をつくと、子供が遊びに連れつ行ってもらえなかったかのように、軽く言った。 それに対し、すいませんと、また軽く謝る翔。 そして、2人はそのまま視線を桂へと向ける。 「…彼が、桂小五郎ですか?」 沖田の問いに、翔ははい、と小さく頷いた。 なるほど。 本来であれば、床にふせり、戦線離脱していたはずのこの男。 敵として見て、戦略的にいえば、その方が助かるのだろうが。 彼が、吉田を殺した男なのだ。 桂はなぜか、高揚する自分に気づく。 刀を交えてみたいと思える相手だった。
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