拾七

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動いたのは、どちらが先だっただろうか。 気付けば沖田と桂の2人は刀を交えていた。 「へぇ。強いですね」 感心したように、笑みを浮かべながら言う沖田。 「お前こそ、やるな」 桂もにやりと笑う。 ギリギリと、鍔迫り合いをしている互いの刀が悲鳴をあげる。 そのまま、沖田は刀をはじき返すと後ろへ飛んだ。 横壁に着地するとそのまま上から桂に向かって刀を振り下ろす。 それを紙一重でかわすと、桂は空中にいる沖田に向かって刀を一線させた。 刀を振り子代わりに体制を変えると、沖田もまた紙一重で桂の刀をかわす。 一瞬の攻防だったが、その動きの早いこと。 おそらく、素人であれば目で追うことすら困難だろう。 その時、沖田の刀が、桂の腕をかすめる。 桂は、わずかに眉間に眉を寄せ、沖田と距離をとった。 そして、バタバタと足音が聞こえてきた。 「沖田総司、覚えておく。この決着はまたいずれ」 そう言うと、沖田に向かい何かを放り投げた。 わずかな爆発音と共に、煙に巻かれる。 煙幕のようだ。 煙が晴れた先に、桂の姿はなかった。
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