拾七

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「逃げられちゃいましたか」 残念そうに言う沖田。その目は、今まで桂のいた場所を見つめている。 「はじめくんが言っていた通りだね。状況判断が早い。 できれば、殺したかったんだけどな」 囁くように言って、沖田はため息をついた。 その言葉を、翔はほんの少し複雑な気持ちで聞いていた。 2人の戦いに、全く手がだせなかったからだ。 「総司、有村、通り魔は!?」 バタバタと足音を立てて現れたのは原田だった。 隊服を着て、十番隊の皆様が続々と現れた。 「逃がしました」 「逃がしたぁ?」 さらっと言う沖田に、原田は素っ頓狂な声をあげた。 他の者ならいざ知らず、翔と沖田の2人で逃がすとは珍しい。 「相手は?」 「…桂小五郎です」 少し言いにくそうに翔が言うと、原田はため息をついた。 「…そうか…」 原田は言って優しく微笑むと、翔の頭をぽんと叩いた。 「仕方ねぇな。おい、斬られた女は?」 「え?あ…、すいません。見失いました」 原田の言葉に、隊士が答える。 「オイオイ、しっかりしろよ。じゃあ、この辺見回るぞ。1人にはなるなよ。 じゃあ、有村、総司、またな」 言って、原田は去って行った。
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