拾七

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「行きましょうか」 この場にいても仕方ない。沖田に声をかけられ、頷いた。 せっかく甘味に癒されていたのに、嫌な気分になってしまった。 「何か、言われたんですか?」 「あ、…いいえ、なんでも…」 「女が刀を持つこと自体、気に入らない」 …聞いてたんじゃん。 沖田の言葉に、がっくりうなだれる翔。 「あぁ、はい。まぁ」 翔は諦めて頷いた。 「今更じゃないですか?先日の新選組内部でも問題になってたでしょう?」 沖田の言葉に、翔は苦笑する。 「そうなんですけどね。なんか、桂と沖田さんの戦いも見てるだけで逃がしちゃうし、自己嫌悪というか、女だからこそもっと頑張らないといけないな、って」 「…有村さんは、何のために刀を持つのですか?」 「え?」 いきなり問われて沖田を見る。 足を止めて、まっすぐに見ていた。 翔の返答をじっと待っている。 「…新選組を守って、好きな人の力になりたいから、かな」 しばらく考えて、ポツリと答えた。 「僕も、同じです」 クスリと笑う声が聞こえて、見ると沖田は笑みを浮かべていた。 「正直僕は新選組はまぁ、どうなろうと知ったことじゃありません。 でも、近藤さんが大事なものだというなら守りたい。 有村さんも好きだから守りたいんです」 さらりと言ってのける沖田に、翔は顔が暑くなる。 「なにいって…」 顔を扇いで、赤くなった顔を見られないように顔を背けようとした。 しかし、それは叶わず、強く腕を引かれ、気付けば沖田の胸の中にすっぽりと収まっていた。 「殺されたりしたら、許しませんからね」 沖田は翔の耳元で囁く。 馬鹿だな、私。 全く成長していない。どれだけ沖田に心配かければすむのだろう。 「死ぬわけ、ないじゃないですか」 沖田の心臓の音を聞きながら、翔は言った。 沖田は翔の顎をつかんで上を向かせると、唇を重ねた。 翔もそれを受け入れて、瞳を閉じた。
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