拾八

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「坂本龍馬暗殺!?」 沖田と翔の2人が屯所へ戻るなり、土方の部屋へ呼ばれた。 部屋へ入ると他の、原田、永倉なども揃っていて、何事かと身構えていたら、言われた言葉だった。 「さかもとりょうま、って、あの坂本龍馬ですか?」 叫んだあと、身を乗り出し確認する翔。 「あ?何がどの坂本龍馬だって?1人しかいねぇに決まってるじゃねぇか」 呆れた様子の土方。 翔は、驚いた表情をしながら頷いた。 なんか…、未来でこれほど有名な人の名を聞いて、なんだか、夢のような気がする。 いや、今更なんだけど。 なにやらぶつぶついいながら座り直した翔に対し、土方は眉間にしわを寄せながらため息をついた。 「で、だ。ここからが本題なんだか。犯人が疑われているんだ」 「誰をです?」 沖田の質問に、土方は思い口を開いた。 「原田と、有村だ」 「は?」 「え?」 言われた2人は目が点になった。 「なんで俺が疑われてんだ?」 「私もっ、お会いしたことすらいんですけどっ」 原田と翔は交互に言葉を発し、うるさいことこの上ない。 「まぁ、落ち着け。2人とも、現場に鞘が落ちてたんだよ」 「鞘?」 土方に言われ、翔は首を傾げながら、己の腰についている刀を触る。 原田に至っては、顔をしかめ 「俺、ほぼ槍で戦ってんだけど」 言って脱力した。 しかし、鞘でどうして犯人だと疑われなければならないのか。 名前でも書いてあったのだろうか? 「紋章だよ。有村、お前、桜の入った刀は?」 「あぁ、えーと、あれは火災現場に…」 言いながら、翔ははた、と気付く。 あの時、あの場で桂に出会ったのではなかったか。 本日、町で出くわしたのはまさか? 「まぁ、はなからテメェらだと思っちゃいねぇが、坂本龍馬の残党は違う。 せいぜい気をつけろ」 土方の言葉に、原田、有村は頷いた。
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