703人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
「ねぇ、沖田さん。やっぱり桂のせいなんでしょうか?」
部屋に帰る道すがら、翔は隣にいる沖田に問う。
「うーん、どうでしょうね?
可能性低いと思いますが。桂も坂本龍馬も同じ倒幕派ですから、殺しても得にはならないと思いますよ」
「そうなんですか…」
沖田の説明を聞きながら、翔は首を捻る。
じゃあどうして私の鞘があったのだろう。町で桂に会ったのは偶然なのだろうか。
「まぁ、現場に気づいて、有村さんに罪をきせようとした可能性はあるとは思いますよ。
ただ、僕は誰が有村さんの鞘を利用したかということより、その濡れ衣によって、有村さんの命を狙う輩が増えるだろうということが問題だと思いますが」
「え?あ、そっか…」
翔は沖田の言葉にハッとする。
「約束ですからね?誰にも殺されないって。
他人に殺されるくらいなら、僕が殺してあげます」
そういう沖田の瞳は真剣で、翔は沖田に向かって、ニコリと笑顔を作った。
「大丈夫です。死にません」
刀の訓練、しないとな。
答えながら、翔は己に誓った。
最初のコメントを投稿しよう!