703人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
音も立てないうちに、1人の男が倒れこむ。
沖田が仕留めたようだ。
「ひっ…」
新選組最強の、沖田の腕前を目の当たりにし、後ずさる黒ずくめ。
「あれ?おかしいですね。先にしかけてきたのはそちらではありませんでしたか?」
言いながら、沖田は敵に向かって突っ込んだ。
翔を含めた他の隊士も黙って見ているわけではなく、すでに刀を抜き放ち、戦闘に入っている。
そのうち翔は、銃を持っていた男とつばぜり合いをしていた。
「…お前が、有村翔か?」
名前を言われ、嫌な予感しかしなくもないが。
「だったら、どうする?」
翔が答えると、相手は顔を歪めた。
そしてそのまま翔を突き飛ばして距離をとると銃を構える。
やはり、私が狙いか。
坂本龍馬の仲間だった者だろうか?
ともあれ、あまり銃を相手に、距離を取るのはよろしくない。
翔は距離を詰めようとするが、相手はそれも承知。一歩つめては、一歩離れるという攻防が続く。
翔は舌打ちしたい気分だった。
そのうち、銃の弾の補充が完了したようで、黒ずくめは翔に狙いを定めた。
パァンっ。
本日二度目の銃の音。
仕留めたと、黒ずくめは口角をあげた。
最初のコメントを投稿しよう!