拾八

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「そうか…」 土方は眉間のシワをますます深くしながら、ため息を吐いた。 あれから屯所へ戻り、報告のため、沖田と翔は土方の部屋を訪れていた。 「そうなると、いよいよだな」 「どういうことです?」 まるで予測していたかのような、土方の口ぶりに、沖田は首をかしげた。 「おい」 土方は振り向き、ふすまの奥に声をかけた。 「はい」と返事をして出てきたのは、御陵衛士になったはずの斎藤だった。 「はじめくん!?なんで?」 驚いたのは沖田だ。 対象的に翔は冷静で、知っていたかのようだ。 「山崎、いるか?」 「はい」 音もなく天井からおりて来た1人の男。切れ長の瞳で物静かな雰囲気を漂わせている。 翔は山崎の登場に驚いたようで、その視線が自身に止まると、思わず固まってしまった。 しかし、そんな翔に構わず、山崎は無表情のまま、土方に向き合う。 「山崎、幹部を集めてくれ。作戦会議を行う」 「承知」 土方の命令に頷くと、山崎は再び音もなく消えた。 「今のって…」 まだ、びっくりして親族が早くなっているが、やっとの想いで、翔は隣にいた沖田に問う事ができた。 「ん?監察の山崎烝くんです」 「気配、まったくありませんでしたよね?」 「まぁ、山崎くんですからね。優秀な人です」 にっこりと沖田は言った。 優秀な人、ね。 新選組って、すごい人がいっぱいいるなぁ。 改めて実感した翔だった。
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