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「今すぐ殺しに行きましょう」
沖田はにっこり微笑んで、腰の刀に手をかけながら、立ち上がった。
「まてまて、まだ話は終わってねぇ」
「少し落ち着けって」
原田と永倉に止められ、渋々、沖田は座り直す。
そんな沖田を見ながら、翔は苦笑する。
まぁ、気持ちはわからなくないけれど。
沖田が腰をおろしたことを確認すると、土方は話を続けた。
「で、だ。先程言ったとおり、御陵衛士の奴らが近藤さんの命を狙っている。
これは斎藤からの情報だ。まず、まちがいねぇ。
そこで、だ。総司の言うことを聞くわけじゃねぇが、こっちから先手を打とうと思う。」
「伊東を殺るのなら、僕にやらせてくださいよ」
間髪いれずに言う沖田。
「まぁ、聞け。少なくとも相手は北辰一刀流の道場主だ。そう簡単に…」
「僕が負けるとでも?」
「総司は強いんだから、まけるわけないだろう」
「……頼むから話をややこしくしないでくれ、近藤さん」
土方は、言いながらはぁ、とため息をついた。
「俺としては、伊東を呼び出して、酒に酔わせて斬るのが一番確実だと思っている」
「ふむ。それなら俺の妾宅に招待するとしよう。
残る残党はどうするつもりだ、トシ?」
土方の提案に乗る近藤。
隣で話をすり替えられた沖田が床にのの字を書いていじけている。
「伊東の遺体でおびき出そうと思う」
「そうか。…そうだな」
土方の提案に近藤が頷き、他の幹部たちとも目で確認し合った。
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