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「あの、すいません」
着々と作戦会議が進められて行く中、翔は小さく手を上げた。
「なんだ、有村?」
「あの…、平助はどうなるんですか?」
翔の言葉に、土方の眉がピクリと反応する。
心なしか、空気も重くなったように感じる。
でも、それでも翔は聞かずにいられなかった。
土方は、ゆっくりと口を開く。
「逃げるようなら、深追いしなくていい。だが、刀を抜くようなら、斬れ」
言い放った土方の顔は無表情で、それ以上何も言えなかった。
「…承知、しました」
苦虫を噛み潰したような表情で頷き、翔は引き下がる。
その様子を静かに見つめたあと、土方は瞳を閉じた。
そして、瞳を開き力強く命令する。
「まずは伊東を殺らないことにははじまらない。近藤さん頼んだ。
総司、お前が一緒についていくと警戒される恐れがある。
ついていくなら、見つからないようにしろ。
斎藤は御陵衛士に戻り、動きをさぐれ。
こちらに向かうようなら、戻って来い。
他の者はいつでも動けるよう準備をしておけ」
「「「承知」」」
返事をして、皆それぞれ立ち上がり、持ち場へと向かった。
「有村」
そんな中、翔だけ土方に引きとめられる。
翔は返事をして、土方の元へ行く。
「なんでしょう」
「お前も伊東を殺る時、行くか?」
土方から言われたのは、おもいがけない言葉だった。
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