拾八

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「あの、すいません」 着々と作戦会議が進められて行く中、翔は小さく手を上げた。 「なんだ、有村?」 「あの…、平助はどうなるんですか?」 翔の言葉に、土方の眉がピクリと反応する。 心なしか、空気も重くなったように感じる。 でも、それでも翔は聞かずにいられなかった。 土方は、ゆっくりと口を開く。 「逃げるようなら、深追いしなくていい。だが、刀を抜くようなら、斬れ」 言い放った土方の顔は無表情で、それ以上何も言えなかった。 「…承知、しました」 苦虫を噛み潰したような表情で頷き、翔は引き下がる。 その様子を静かに見つめたあと、土方は瞳を閉じた。 そして、瞳を開き力強く命令する。 「まずは伊東を殺らないことにははじまらない。近藤さん頼んだ。 総司、お前が一緒についていくと警戒される恐れがある。 ついていくなら、見つからないようにしろ。 斎藤は御陵衛士に戻り、動きをさぐれ。 こちらに向かうようなら、戻って来い。 他の者はいつでも動けるよう準備をしておけ」 「「「承知」」」 返事をして、皆それぞれ立ち上がり、持ち場へと向かった。 「有村」 そんな中、翔だけ土方に引きとめられる。 翔は返事をして、土方の元へ行く。 「なんでしょう」 「お前も伊東を殺る時、行くか?」 土方から言われたのは、おもいがけない言葉だった。
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