拾八

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その問いに、翔は瞳を伏せたあと、静かに首を横に振る。 「そうか。悪かったな、引き止めて」 土方は言うと去って行った。 その場に佇みながら、翔は考える。 もし未来が変わらず、翔の知っているものと同じならば、伊東は終わるのだろう。 自分は弱いだろうか。 あんなことがあって、彼との決着の機会を自ら投げてしまうのは。 いや、私情を挟むべきではないな。 首を振り、考えるのを放棄する。今自分がやれることを。 立ち止まっている暇はない。 沖田が伊東の暗殺に加わるため、一番隊の指揮は翔がとることになった。 こちらの新撰組のなかにも、伊東との密通者がいるかもしれない可能性がある。作戦の詳細はごく一部の者にのみ限られた。 「お疲れ様です。俺らはここで待機すればいいんですね?」 部下の言葉に、翔はコクリとうなずいた。 その行動に一番隊の者達も目配せで頷いた。 それにしても…。 これほど、時間がかかるものだろうか? するとガキィンっと刀のぶつかる音が聞こえてきた。 まさか。 暗殺に失敗?
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