拾八

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肩口を抑える沖田。 その手と、浅葱色の隊服が、真紅に染まって行く。 「私が反応できたこと、おかしいと思いませんでしたか?」 ザリっと、足元の石を踏み鳴らし、伊東は沖田へと近付く。 「彼女は私の側にいた。あなた達を見張るスパイとして潜りこませていたんですよ」 笑顔を貼り付けながら、伊東は近づいてくる。 考えろ。動揺するな。 翔は、僕にとって…。 思考を始めた沖田を、伊東は獲ったと思った。 肩口を斬ったことにも成功した。 刀を握る力は半減しているに違いない。 振りかぶった刀を、しかし振り下ろすことはなかった。 伊東の胸を、沖田の刀が貫いていた。 「ぐっ…、何故…」 苦悶の表情を浮かべる伊東。 「見くびらないで頂きたいですね。有村さんと約束したんです。 信用すると。誰よりも」 「なるほど…」 沖田が刀を抜くと、伊東は事切れた。
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