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暗闇の中で、息を潜める。
緊迫した空気の中で、翔は目の前にいる沖田を見た。
伊東と何か話をしたのだろうか。
気になるけど、でも今は、そんなことを気にしている場合じゃない。
翔は、ふるふると首を振って雑念をはらった。
「来たぞ」
誰ともなく発せられた言葉に、翔ははっとする。
息を詰めて壁から覗くと、なるほど、見たことある顔がちらほらと。
彼らは伊東の遺体を見て唇を噛みしめる。
「ちきしょう、卑怯な真似しやがって」
「気を付けろ、明らかに罠だ」
「わかってる。でも、伊東さんをこのままにはしておけねぇ」
御陵衛士たちは、口々に言い放つ。
その時、新撰組が動いた。
「ぐあっ」
音もなく、一人が倒れた。
それを合図に、狭い路地の中で混戦になった。
翔もまた、考えることをやめ、刀を手に走り出した。
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