第1話

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「だって佐々木先生は私に気があるからでしょう」 年上の女が上からの目線で言った。 たかがチョコレートひとつで勝ったつもりだ。 「いいわね、後で私もおねだりしよっと」 眉毛の濃い女が言った。 かわい子ぶりやがってむかつくわと中島友紀は思った。 「そうね、まだ持っているかも」 鼻がでかい女も続けた。 こいつも皮をかぶった女だわ、中島友紀はチラ見した。 こういう女にかぎって人のコーヒーに塩を入れたりする。 「中島さんは関係ないわね、ごめんなさいね、まだ入って間もないから気にしないでいいわ、どうせ関係ないんだから」 関係ないですって、冗談じゃなくてよ。 お前みたいなババア勝ってにいってろ。 中島友紀は関係ないと言われて、完全にキレた。 自分より低いレベルの女に、バカにされたくはなかったのだった。 女のプライドが働いた。 今まで生きてきて、これほどムカついた瞬間はない。
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