プロローグ

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春うららかな教室の片隅で、俺は菩薩と化していた。 「今日、運よく雫さまにお会いしたんだぁ~」 「いいなぁ。僕もお目にかかりたかった!」 そう、俺は菩薩。 どんな珍事にも心を荒立てる事のない。菩薩だ。 目を穏やかに閉じ、写し損ねた黒板の文字をノートに走らせる。流れるように。 「Aクラスの馬宮、超タイプなんだよな」 「ああ、あいつ可愛いもんなー」 そう、こんな会話が繰り広げられている所が例えオトコ♂(アッー)の花園、男子校であろうとも。 「あの人のモノになりたいなぁ~」 「俺のモノにしてやりてぇなぁ」 メギョッ..... 「慣れてたまるかボケェエエエエエエエ!!!!!!!!」 俺の相棒(愛用シャーペン)がへし折れる感覚がした。 そして時は、一年と少し前にさかのぼる。 .
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