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「これ見て」
「うおっ?」
するとプリン頭はケータイの画面をずいっと俺の目の前に突き出した。
それを思わず受け取ってしまう。
そこには病室で、プリン頭の隣に中年の男女が並び、三人でなんかよそよそしいぎこちない笑みを浮かべた写メが写っていた。
「母親と再婚相手と一緒に撮ったの。ソレ。俺と母親、親子だなんて思えないくらい他人行儀でしょ」
そう言って笑うプリン頭。
っつーか・・・
・・・・・・・・・は?
俺はその写メを見て疑惑に眉を寄せた。
「母親と写メ撮ったら、なんかちょっと自分の中で色々吹っ切れたかなぁ。まだ完全に許せたわけじゃないけどさ。
このままじゃダメだって、この間のたかぽんのおかげでちょっと気づけたかも」
「いやちょっと待て」
ありがとね、となにやら感動的に締めようとするプリン頭の言葉を遮って、俺はその写メに釘付けになりながら、難解事件を解くバーローのような眉間のシワを作る。
「え?なに?」
プリン頭が肩透かしくらったような表情で声をかけてくるがそれどころじゃねえ。
これはいったいどういうことだってばよ?
「・・・お前のカーチャンって、最近イメチェンとかした?」
「えぇ?
「いやだから、髪染めたりパーマかけたり化粧変えたりとかした?」
「・・・・・よくわかんないけど、母親は昔っからこんなかんじだよ?」
なん・・・だと・・・・
写メに映る女性は、美人に違いはないが、髪はかなり明るい色に染め、ゆるくパーマをかけたかなり派手な容姿をしていた。
そう、俺がついこの間までプリン頭のカーチャンだと思っていたあの女子大生みたいな女の人とはかなりかけ離れた姿っつーかどう見ても別人。
「たかぽんどったの?」
「・・・・いあ・・・、な、なんでも・・・。ま、まあよかったんじゃね、仲直りできたなら」
俺はケータイをプリン頭に返しながら全身鳥肌が立っていた。
ここに写ってる女がコイツのカーチャンなら、俺が今まで会ってたのは誰だったんだ・・・・?
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