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ラウザが旅立ってから八年、虹助は全く成長していなかった。
色力を扱うには自分の心と対話し、過去と向き合わなくてはならない。それは、ラウザからしつこく言われてきた。
だが、虹助には確かな過去と呼べる物はこの教会に来てからの記憶しかない。
虹助は、それだけでは不十分な気がしてならないのだ。
「記憶か……」
虹助は、毎日のお祈りを欠かした事はない。
一つも思い出のない両親への思いや、ラウザの無事を祈る事で寂しさを紛らわしていた。
この教会は教祖であるエルザに祈りを捧げる場で、参拝客もたくさん来る。
礼拝堂には、八つの巨大な石像が立ち並んでいる。
一つは教祖であるエルザであり、その姿は異様な物だ。女性の象徴である豊かな胸もあれば、男性の象徴であるペニスもある。
男性であったと言われたり、女性であったとも言われているのだ。
そして、エルザを囲うように七つの美しい女性の石像が両手をエルザに掲げている。これが、七人の魔女だ。
七人の魔女は、それぞれが異なる色を持っていて、それをエルザに与え力を貸していたと伝えられている。
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