預けられた子たち

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 ここは、教会の近くの森の中だ。教会の近くというだけあって、獣の類も見当たらない自然の中。 「虹助、俺も明日には旅立ちの日だ。騎士になるにはやはり央都を目指すが……お前も来るか?」  ラウザは虹助に微笑みながら告げた。騎士とは、色の力を身につけ国や王の為に戦う者の事を言う。  しかし騎士への道は険しいのだ、色力(いろりょく)は誰でも扱える物ではない。さらに扱えたとしても、並々ならない修行が必要になるのだ。教会はそう教えている。 「僕は自分の事だけで精一杯だよ。この力の秘密を探さなくちゃ。扱えるようにもなりたいしな」  右拳を握り虹助は、哀しそうに見つめた。 「そうだったな。気が向いたら会いに来てくれよ、待ってるからな」  そう微笑み、ラウザは教会へ向けて歩いて行った。
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