預けられた子たち

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 この教会には、たくさんの身寄りのない子供たちが預けられている。  親に捨てられた子もいれば、戦争で親を亡くした子まで様々だ。  虹助は、森の中で血まみれの姿で歩いているところを教会のシスターに保護された。しかし、その血は虹助の物ではなく全て返り血だったという。  保護された時は、虹助は自分の事を五歳だと言っていたがその後、気を失い起きた時には記憶が失われていた。  そんな彼を不気味に思いながらも、追い出す事が出来なかった教会の者たちは、優しく迎え入れた。  それから二年、ラウザという友であり、師でもある男と共にイジメられながらも元気に育ってきた。  明日は、そんなラウザの旅立ちの日だ。虹助は、寂しくないと言えば嘘になる。  そんな寂しさの中で、イジメっこたちに喧嘩を吹っかけたのだ。寂しさを紛らわす為に。
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