預けられた子たち

6/10
前へ
/171ページ
次へ
 食事を終えると、皆は風呂に浸かった。  一日の疲れや哀しみ、全てを洗い流してくれる風呂は格別だ。  風呂を出れば、ベットに入る。次の日になればラウザとはお別れだ。  寂しくないとは思っていても、やはり子供だ。  別れに涙を流す者も少なからずいる。逆に喜ぶ者も……。  虹助をいじめる者たちにとっては、邪魔がいなくなって嬉しい事だろう。守る者がいなくなれば楽になる。  そう……難しい話じゃないだろう。 「さあ皆、明日はラウザの旅立ちです。今日はゆっくり休んで明日の見送りに遅れないようにね」  シスターが、寝室の出入口から声をかける。いつものことだ。  何も変わらない。ただ、明日になればこの部屋から一人がいなくなるだけ。 「はーい、シスターおやすみなさい」 「おやすみ」  シスターは静かに扉を閉めてシスターたちの部屋へ去って行った。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加