預けられた子たち

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 ラウザたちの目にも、虹が目に入った。 「虹だ!」 「すごい! なんで虹が!?」 「ありえないわ……」  今の世界では、虹はとても貴重な物だ。旧色時代では、虹は当然のように見られたと伝えられている。  しかし、虹を作り出す虹一族が滅びた時から見られなくなったと……これは、世界全てに伝えられていることなのだ。 「あいつ……馬鹿な真似をしやがる」  ラウザは、気づいていた。昔、虹助が勾玉を持っていると知った時からラウザは虹助の力を知っていた。  滅びた力、虹色の力を。  ラウザは、八歳まで両親と暮らしていた。騎士の家系に生まれたのだ。  だから、教会の人間が知らないはずの勾玉の力についても知識を持っていた。 「見つかったら殺されるぞ……」  虹の一族は、力を独占する者として滅ぼされた一族。  勾玉は、虹の一族の技術なのだ。それを奪ったのが、初代の王たち。 そして、今の世界が出来たとされている。
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