本当のあたし

12/18
前へ
/155ページ
次へ
「じゃあ早く準備しろよー。お前の部屋に衣装とヘアメイクいるから。」 たかがパーティーにヘアメイクっている? なんて思っていると、隣にいた龍が突然歩き出した。 「ん、龍、どっか行くのか?」 「俺もパーティー出るから準備するために一回家に帰るわ。じゃな。」 龍はそう言ってさっさと帰ってしまった。 「じゃあ、あたしも準備すっか。」 あたしは、自分の部屋に向かった―――――――――― 30分後――――― 「なんだよ、これ……」 あたしは、鏡に映るあたし自身に驚いている。 そんなあたしを見て、親父はケラケラ笑っている。 今のあたしは、例えるなら『THE・お嬢様』。 茶色の髪は軽くパーマがかかってて、ふわふわしてる。 化粧なんか、まさかのピンクベース。 ワンピースも、腰の所にリボンがついてて、スカートヒラヒラで……みたいな格好。 気持ち悪い!! 「なんでいつものじゃないんだよ!!」 いつもの、と言うのは、黒いパンツスーツの事。 あたしは、パーティーに出るときはいつもそんな格好をしている。 「えー、なんとなく?」 親父は笑いながら答えた。 なんとなくぅ? 理由があるとかじゃなくてぇ? もう突っ込む気にもならない…… あたしがうなだれていると、外が騒がしくなってきた。 あたしは、親父に舌打ちしながら窓の外をみた。 あたしの部屋の外は、ちょうど駐車場だ。 遊園地なんかの駐車場と同じぐらい車が止まるようになっている。 いや、どんだけって言うね。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

330人が本棚に入れています
本棚に追加