330人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
「紅様、龍様がお見えになりました。」
あたしの部屋に入ってきた使用人が、あたしに言った。
「あぁ、ありがとう。連れて来ていいよ。」
あたしがそう言うと、ドアの向こうに消えていって、それからすぐに龍が入ってきた。
龍はいつものように、灰色のスーツを来ている。
龍は、あたしを見て、口をパカッと開けた。
それから暫く静止して、急に顔が真っ赤になった。
はぁ?なんだこいつ。変人か?
「龍、頭大丈夫?」
あたしが呆れた顔で言うと、龍は顔を真っ赤にしたまま叫んだ。
「お前は誰だ!!!!!」
…………………はぁ?
ついに頭ぶっ壊れたか?
「おい、桜庭、龍を病院に連れてけ。」
「あぁ……フハッ……」
桜庭は悪乗りしながら、肩を震わせて笑っていた。
「ち、ちゃう!!ちゃうねんて!!」
連れて行こうとする桜庭を、必死で止める龍。
あたしはソファから立ち上がって龍の所へ行き、思いっきりチョップしてやった。
「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あたしは紅だコノヤロー!!頭ん中に刻んどけバカやろー!!」
頭を抑えて叫んでる龍に怒鳴って、あたしは再びソファにふんぞり返った。
「ち、ちゃうって!!その……あまりにも可愛かったから、びっくりしてん……あっ!!!これ言うたらあかんかった!!」
可愛い……可愛いだと!?
このあたしが!!!?
言われなれないセリフに、どんどん顔が赤くなっていく。
それに気付いた桜庭の馬鹿やろうが
「ん?紅ちゃん顔赤いよー?」
なんておちょくってきやがるから、あたしは
「ば……っかやろー!!!!!変な事言ってんじゃねーよ!!」
って叫んで、逃げるように部屋を出た。
最初のコメントを投稿しよう!