本当のあたし

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「紅様、龍様がお見えになりました。」 あたしの部屋に入ってきた使用人が、あたしに言った。 「あぁ、ありがとう。連れて来ていいよ。」 あたしがそう言うと、ドアの向こうに消えていって、それからすぐに龍が入ってきた。 龍はいつものように、灰色のスーツを来ている。 龍は、あたしを見て、口をパカッと開けた。 それから暫く静止して、急に顔が真っ赤になった。 はぁ?なんだこいつ。変人か? 「龍、頭大丈夫?」 あたしが呆れた顔で言うと、龍は顔を真っ赤にしたまま叫んだ。 「お前は誰だ!!!!!」 …………………はぁ? ついに頭ぶっ壊れたか? 「おい、桜庭、龍を病院に連れてけ。」 「あぁ……フハッ……」 桜庭は悪乗りしながら、肩を震わせて笑っていた。 「ち、ちゃう!!ちゃうねんて!!」 連れて行こうとする桜庭を、必死で止める龍。 あたしはソファから立ち上がって龍の所へ行き、思いっきりチョップしてやった。 「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!!!」 「あたしは紅だコノヤロー!!頭ん中に刻んどけバカやろー!!」 頭を抑えて叫んでる龍に怒鳴って、あたしは再びソファにふんぞり返った。 「ち、ちゃうって!!その……あまりにも可愛かったから、びっくりしてん……あっ!!!これ言うたらあかんかった!!」 可愛い……可愛いだと!? このあたしが!!!? 言われなれないセリフに、どんどん顔が赤くなっていく。 それに気付いた桜庭の馬鹿やろうが 「ん?紅ちゃん顔赤いよー?」 なんておちょくってきやがるから、あたしは 「ば……っかやろー!!!!!変な事言ってんじゃねーよ!!」 って叫んで、逃げるように部屋を出た。
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