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「はい。ジュース。」
パーティー会場に入って10分。
悠斗は未だにあたしの手を離してくれない。
あたしはもう諦めて、悠斗からジュースを受け取った。
周りにはリッチなおっちゃんとかおばちゃんがいっぱいいる。
中には若いご婦人もいて、あたし達をジロジロ見ては、ヒソヒソと話していた。
「あれって荘司様のご令嬢じゃありませんこと?」
「そうよ!!いつ見てもお美しいわ……所で紅様の隣にいる方って……」
みたいな会話が地獄耳であるあたしには聞こえた。
悠斗は聞こえてないみたいで、あたしが悠斗を見ると、ニコニコ笑ってコッチを見ていた。
え、なんだ?
「悠斗……なんか用事?」
「ん?何でもないよ?何で……?」
「や、別に……」
なんでニコニコ見てるんだコイツは……。
なんて事を考えながらジュースを飲んでいると、すごい顔して走ってくる龍が見えて、吹きそうになった。
後ろには椿と啓が歩いてきていた。
龍は走ってくるなりあたしを悠斗から引き離した。
あたしは今龍の腕の中にいる。
……慣れてるけど。
「悠斗!!お前紅になにしとんねん!!」
龍は悠斗に一生懸命叫んでるけど、悠斗は平然としてる。
てゆうか、ここパーティー会場。
人いっぱいいるんだけど。
心の中でそう言っても、龍は全然気付いてない。
「龍、あのさ「紅は黙っとけ!!」」
気付いてないから口に出してやろうと思ったのに、黙っとけなんて言いやがった。
うん、一回殴っとこうか。
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