camellia

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「なんだよこのやロー!!!なんで今掛けてくんだ!!」 『な、いきなり怒んないで下さいよ!!』 電話の向こうの礼は、突然の怒号にビックリしたらしく、慌てた声をしていた。 花宮さんが起きるとマズいから、あたしは部屋から出て、リビングに移動した。 『それにしても良かったです。なかなか出ないから心配しました』 移動してる途中で礼がそう言ってきたから、あたしはそれ以上怒れなかった。 あの雷光の事件があってから、紅はあたしに対して心配性になった気がする。 大変な事だったから、そうなるのも仕方ないと思って、なにも言わないけど。 「……あぁ、悪かったな。んで?なんだよ」 『あぁ、特に重要じゃないんですけど、今度の日曜日に暴走したいなぁ、って……』 「あぁ!?めちゃくちゃ重要じゃねぇか!!でも……お前ら怪我大丈夫なのか?」 『総長、俺らをナメてるでしょ。もうみんなピンピンしてますよ!!』 なんか皆暴走したくて仕方ないらしい。 あたしもおしとやかな人達に囲まれて飽きてきたしなぁ……よしっ!! 「やるか!!」 あたしが言うと、明らかに礼じゃない男達の声が混ざっていた。 『おいっ、うっせーぞ!……すいません、じゃあ総長も必ずきて下さいよ!』 「あぁ、当たり前だろ?じゃーなぁ」 あたしが早々に切ろうとすると 『あ、待って総長!……あの、龍さんは……』 「あぁ……参加出来るか聞いとくな」 龍は紅には入っていない。 これは滅多に知られてないけど、副総長でもなんでもない。 なんか重大なヒミツが隠されてるー、とかじゃなくてただ単に入ってない。 いつもついてきてるから紅のメンバーとは仲がいいし、暴走にもよく参加してる。 あたしは電話を切ると、そのまま龍に電話をかけた。 『紅!!なんで勝手に帰んねん!!』 さっき怒鳴ったようなでかい声で、龍に怒られてしまった。 「あー、ちょっとな。そんな事より!!今度の日曜日、暴走するって決まったんだけど……」 『行くわ!!って言うかもうお前ん家の前だからとりあえず電話切るわ』 「はぁ!?ちょ」 ガチャ 「よっ!!おっじゃまっしまーす!!」 電話が切れて、それと同時にドアが開いた。 廊下にいたあたしは、玄関から入って来た龍じゃない人に、ビックリする。 ずかずかと入って来たのは龍じゃなくて、淳のバカ野郎だった。
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