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冷蔵庫を開けて、何を作るか考えていると
「料理するの?」
いつの間にか背後にいた真希がニコニコと笑いながら言ってきた。
あたしは真希に返事してから、また冷蔵庫を覗く。
すると真希は楽しそうな声で
「あたしにも手伝わせて!」
と言って、どこから持ってきたのか、エプロンを付け始めた。
真希……料理出来んのかな……
そんな不安を抱きつつも、あたしは笑顔で
「いいよ」と言うと、冷蔵庫から出した人参を真希に渡した。
「じゃあ、それ剥いてて?包丁は下に入ってるから」
あたしはシンクの下の戸をパカッと開けて、中を見せる。
真希は嬉しそうに笑うと、早速包丁を使い、人参の皮を剥き始めた。
意外と料理は得意らしく、スムーズに皮を剥いている真希に安心した。
あたしはジャガイモを取り出して洗い、皮を剥く。
もうめんどくさいからカレーにしてしまおう。
そう思っていると、突然真希が
「あたし、椿の事大好きなんだ」
そうポツリと言ったから、あたしは思わずジャガイモをシンクに落としてしまう。
あたしが慌ててジャガイモを拾うのを笑って見てた真希は
「だからさ……椿の事、知りたいけど、教えてくれなくて……椿、あたしの事キライなのかな…」
そう言って、子供の様に目に涙を溜めていた。
そんな真希を見て、あたしは真希の頭を思わず撫でてしまった。
「大丈夫、椿は真希の事大切に思ってるって。心の準備って奴が出来ないんだよきっと」
なんか、子供あやしてるみたい……内心そう思いながらも、あたしがそう言うと、真希は安心したようにニッコリと笑った。
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