5人が本棚に入れています
本棚に追加
―――
「それで、琢己はこれをもらったと…」
少したった黒髪、すこし着くずしている制服、僕の親友である中沢鋼正が僕が昨日もらった、日記を眺める。
「へぇ~、琢己のお父さんがねぇ…」
細身で小さい背丈、小動物のような顔をもち、僕か鋼正にときたまラリアットをかます、腐れ縁の幼なじみにして鋼正の彼女、近藤智美は鋼正の横で覗き込むように見る。
今は朝の登校時間、正直な気持ちこういうのはカップル水入らずで登校するべきだと思っているのだが…
まぁいまさら言うこともないか…
そんな気持ちもあるため中々口に出せずにいる。
「琢己、鍵はぁ~?」
鋼正が日記を見たまま僕の方に手を出してくる。
「あぁ、首に通してるから、また後でね」
無くすのを防止するためにと、鍵をチェーンに通して首にかけている。
もともと物を無くしたりしない上に、効果があるのか分からないその行為は馬の耳に念仏というか、豚に真珠というかそんな感じなのだが…
まぁうちの中学はそこまで厳しくないし、平然と首に掛けれる。
最初のコメントを投稿しよう!