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まぁなんだかんだ言っていても、結局は良い一年だった。
明日からもこうやって楽しめる日々を送りたい―
ペンがそこまでを綴ると、ペンは置かれてペンの持ち主は体を大きくのばした。
「ふぅ…もう一年か…長い様で短かったな」
そう呟き、目を向けた先にあったのは一冊の日記、いや今年度の日常が詰まったちょっと変わった日記。
開かれた最後のページの左下にあるページ数を表す数字は731ページを表していた。
その開かれた日記の大きさはノートと同じくらいで、その日記の隣には使い込まれて少し古ぼけて見える小さな鍵がおいてある。
この鍵はこの日記の物で、この日記は父から貰ったものである。
父には突然に一年前のこの日にこの日記を渡され、一年間の日記を書いてみたらどうだと言われた。
そんなことを思っていたせいか、日記を開いたままずっとボォっとしていた。
すると部屋の窓から春の暖かい風が吹いてきて、日記はパラパラとページを戻していった。
風が吹きおわると、本当にはじめの一日である去年の4月2日の日記を書いたページが開かれた。
まだ書き方を理解出来なかった頃の内容は、黒歴史と言わんばかりの書き方で、小さく苦笑をこぼしながら読みつつ、回想に耽った。
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