0日目‐4月1日

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「パパー早く」 そう黒葉が急かすと父さんはゆっくりと荷物をもってリビングに向かい、僕達も着いていった。 我が家は四人暮しには少し広いくらいのマンションの一室に暮らしている為が、色々とスペースがあって楽なのだ。 リビングも広いほうで、リビングにある机の上に黒いお土産用のアタッシュケースを置くと、他のものが入ったカバンを部屋に持っていった。 二人でソファーに座ってまつと、すぐに父さんは戻ってきた。 父さんはソファーに座ると黒いアタッシュケースを開いた。 ‐カチャ そんな音を響かせて開いたアタッシュケースを覗き込むと、毎回同じでピンクの袋と黒い袋、赤い袋とそのまま詰め込まれたお土産が入っていた。 ピンクの袋が黒葉の、黒が僕で赤が母のお土産で、そのまま詰め込まれたお土産は共通の物である。 「はい、最初は黒葉のだ」 そういって、ピンクの袋を取り出し、黒葉に渡すと黒葉は直ぐに 「開けていいー?」 父さんが頷くと黒葉は嬉しそうに袋をあけた。 まぁ僕の予想だと、ぬいぐるみとかお菓子だろう… そして今度は僕の番なのだが… 「お父さん料理できたわよぉ」 そういってリビングに顔を覗き込ませる母… 「おや、今日はやけに早くないかい?」 確かに今日はまだ父さんが帰ってきてから十数分しかたっていないのだが… 「おとうさんへの愛で火力が強くてね」 そういってウィンクをする母 「ハッハッハッそれは嬉しいな」 そういって笑顔になった父さんは赤色の袋を持って母の元に行くと、母を抱き締めて 「黒葉っ見ちゃダメだっ」 父さんと母を見ていた黒葉の目を急いで隠す 「んもっあなたぁ」 うちの両親は今でも熱々で子供が前に居ようとも普通にいちゃつく。 まぁ唯一の救いが、母が老いて見えないことだろう… 母の歳は聞いたことは無いが、最低でも30で実際は30代後半なのだろうが、プロポーションその他諸々があって世間からは20代と勘違いされるほどだ。 「お兄ちゃんなにするのー?」 おっと黒葉のことを忘れていた。 「はい、黒葉はお兄ちゃんと一緒に部屋に戻るよぉ」 そういって、黒葉のお土産を持って、黒葉の目を塞ぎつつ黒葉を部屋に戻し、自室に戻った。 ベットに寝転がり、少しため息をつく 「お土産はまた明日だな…」 そう呟いて目を瞑ろうとしたが…
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