昔話

2/3
前へ
/4ページ
次へ
皇子、誕生。 血の色をした薔薇を何より愛した女と、一滴たりとも血潮の流れがないと言われる皇帝の間に。 子どもの瞳は、女の大好きな血の様な紅でした。髪は、皇帝によく似た全てを打ち消すかの様な闇の色でした。 ここまでは、魔界では素晴らしいと言われる容姿。 勿論 顔立ちも整っていました。 子どもは、出生の瞬間ですら産声ひとつあげなかったと言います。 皆が流石皇子と称えました。 しかし、 1つだけ欠点と呼ばれてしまったものがありました それは、肌の色でした。 通常悪魔の肌の色は浅黒いか褐色か、といったものでしたが、 彼の肌はかつて「黄金郷Zipangu」と呼ばれた島の人々が「肌色」と呼ぶ 正にそれだったのです。 人間にとっては大したことのないことですが、悪魔たちにとっては大変なことでした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加