II-0『白は温もりを嫌う』

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 その一つとして、『強制進化』と呼ばれる候補者が襲撃者の中に加わっていたという事が挙げられる。  話を聞く限り、その実力は『組織』の中でも飛び抜けて高い。文字通り、今までの連中とは格が違う。主力の一人と言ったところだろう。  それほどの実力者を、自分一人を仕止める為に差し向けたのだ。敵もいよいよ本気になってきたという事か。  そしてもう一つ、厄介な問題が存在する。……最も厄介な問題が。 (俺には今、何の力も無い。そこらにいるただのガキと何ら変わりはねーって事だ)  十二月に起きた、とある戦い。  ミーシャが日本に来て間も無い頃に起きたその戦いに、彼は敗北した。誰かに『敗北する』というのは、それが初めての事だった。  そして、戦いの末に彼は力を失った。正確に言うならば、力の源となる神玩具を。  失った、と言うよりは取り上げられたと言う表現の方が適切かもしれない。  天照美鈴。少年の実の姉の手によって、彼の神玩具は現在取り上げられ、隠されてしまっている。  何でも、今までのミーシャの行動を戒め、反省させる為だとか何とか……正直、理解に苦しむ。
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