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「秀、直哉、そろそろ帰りましょ?」
太陽がオレンジに輝き、海に沈み始めるのを目を細め見ながら嬉良は2人に言った
「そだね。暗くなる前に出よ」
それに賛同した弟の秀――杉崎秀喜――に続いて遊び慣れた森を街に向かって進んでいく
「…?、あれって何だろ?」
そんな中、見るからに好奇心が旺盛そうな顔をした男の子――七星直哉――は、たまたま見た森の景色の中に黒い亀裂が空間に出来ているのを見つけた
大きさは子供一人ならば悠々と通れそうで、黒いガラスを割ったらこうなるんじゃないかという形をしていた
その亀裂に子供ゆえの好奇心か、陽が暮れることも忘れて3人は少し距離をとって観察をする
「…ここから風が吹いてる…、どこかに繋がってるかな?」
そう呟いた直哉はおもむろに近づき右手を突っ込んだ
「ちょっと!何してるの!?」
それを見た嬉良が慌てて直哉の右手を引っぱり出すが、特に何の異常もみられなかったことに安堵の息を吐く
「大丈夫みたいだし、みんなで入ってみよ!」
「この先に何があるのかな!!」
「わ、わたしは嫌だよっ!」
「じゃっ、僕らだけで入ってみるからキラ姉は待ってて!」
「ちょっ!待っ…
入ることを渋った嬉良の返事を待たずして直哉と秀喜の2人は入って行った
この亀裂が自分達の運命の歯車を狂わすことになるとも知らずに
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