6人が本棚に入れています
本棚に追加
「…また森の中?」
「でもキラ姉が居ないから違う所じゃない?」
亀裂から抜けて出た先はまた森だったが、さっきまで暗くなり始めていたのに対し今は明るい。およそ昼間あたりだろうか
それでももっと凄いところを期待していたのか、拍子抜けした直哉と秀喜が辺りを見渡す
「!直哉、あれ見て!」
「ん?」
何かを見つけた秀喜の視線の先を追ってみると、そこにはウサギ『のような生き物』が居た
何故『のような生き物』を付けたのかというと、そのウサギには普通はあり得ない角を持っていたからに
「…捕まえられると思う?」
「…試しにやってみる?」
この会話を皮切りに2人は足音を出さないようにウサギに近づいた
しかし気付かれてしまったのか、ウサギは森の奥に逃げていき、それを追って直哉と秀喜は走り出した
「はぁ…はぁ、…どこに行った?」
「…ふぅっ、それより随分と遠くまで来ちゃったね」
思ったよりもウサギは素早く、それを追って十数分ほど走ったが見失ってしまった
そこはもう先程居たところよりも木々や雑草が生い茂っており、太陽の光さえも遮っている
捕まえる事しか考えていなかったので、すっかりと時間を忘れていた
そんな2人の横で木が大きく揺れる。先程のウサギがたてた音かと振り向くと、
「!……ひぃっ!」
「っ!!」
秀喜は小さな悲鳴をあげ、直哉は驚きのあまり目を大きく見開いて息を飲んだ…
目の前には熊を思い起こさせる、しかし腕が異様に長く、手は人の胴回りはあろう木を片手で握り潰していた
((逃げなくちゃ殺される!))
傾いていく木を見て同じことを思った2人は、木が倒れ込んだ音を背にもと来た道を走りだした
最初のコメントを投稿しよう!