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僕の名前は「徳永秀忠」。
この名前のお陰で必ず笑われる。
29才、独身。
総合病院の内科勤務。
内科のお医者さん。
『徳永の家は金持ちだ。』
と、皆が口を揃えて言う。
母親は不動産会社経営で、僕に赤坂のマンション一戸を譲ってくれた。
『秀君、就職祝いよ。』
と、嬉しそうに笑っていた。
これで、僕は『過保護』、『マザコン』、『お坊ちゃま』のレッテルを張られた。
唯一、それを気にせず笑い飛ばしたのは『土井利彦』。
僕より4才年下のサラリーマンだ。
先月から僕の家に居候している。
その土井利彦の後輩で宅配便のバイトをしている佐々木君と先月、妙な約束をしてしまった。
《キャバクラへ行こうよ》
ラーメン屋で盛り上がり、退くに退けない状態で返事をしてしまった。
原因は利さんに意地を張ってしまったから……
僕は人より変なのかもしれない。
土井利彦が気になる。
別に僕は同性愛者じゃない。
でも、気になる……。
そう、これから繰り広げられる、僕の受難は、あのラーメン屋から始まっていた。
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