あるところ

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それはそれは不器用で馬鹿で、正直な男がいたそうだ。 彼はバカ正直なので、人の顔色など伺わない。なので人は彼を嫌いだった。 世の中の大抵の人は本当らしいような嘘が好きだった。それは慰めのような偶像のようなものであった。 でも、 彼は嘘が嫌いだったわけじゃない。 ただ、ほんの少しだけ人よりも嘘が下手だった。だから彼は嫌われていた。 彼はいつも一人だった。 彼は今日も空を見上げた。 雨が降りそうになっていた。
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